
Alpsdake, Wikimedia Commons(CC0 1.0)/西穂高岳から望む笠ヶ岳
笠ヶ岳 登山ガイド|新穂高温泉(笠新道・小池新道・クリヤ谷)コースと笠ヶ岳山荘・鏡平山荘情報【2026年】
北アルプス(飛騨山脈)の笠ヶ岳(標高2,898m)の登山ガイド。岐阜県山岳グレーディングに基づく新穂高温泉からの笠新道・小池新道・クリヤ谷コースや双六岳周回ルート、笠ヶ岳山荘・鏡平山荘・わさび平小屋・双六小屋の2026年営業情報、新穂高温泉の駐車場・バスアクセスと注意点を整理します。
目次
- 笠ヶ岳の概要
- ルート解説(岐阜県山岳グレーディング・日本百名山グレーディング)
- 1. 新穂高温泉<笠新道>往復・小池新道周回コース
- 2. 新穂高温泉<小池新道>往復コース
- 3. 新穂高・槍見<クリヤ谷>コース・双六岳周回コース
- アクセスと登山口・駐車場情報(新穂高温泉)
- 公共交通機関
- マイカー(新穂高温泉登山者用駐車場・2026年9月版マップ)
- 山小屋・テント場情報(2026年シーズン)
- 1. 笠ヶ岳山荘(山頂直下・標高約2,820m)
- 2. 鏡平山荘(標高2,300m・小池新道)
- 3. わさび平小屋(標高1,400m・左俣林道)
- 4. 双六小屋(標高2,600m・双六池畔)
- 見どころ
- 1. 笠ヶ岳山頂からの360度展望と端正な山容
- 2. 鏡平(鏡池)に映る槍・穂高連峰と杓子平のカール地形
- 注意点と安全登山のポイント
- 1. 笠新道の長大な急登と水分補給計画
- 2. 稜線の強風・低体温症と雪渓・渡渉への備え
- 3. 岐阜県北アルプス地区における登山届提出義務
- 参考リンク
笠ヶ岳の概要
笠ヶ岳(かさがたけ・標高2,898m、三角点2,897.5m)は、岐阜県高山市に位置する北アルプス(飛騨山脈)の山で、「日本百名山」および「花の百名山」に選定されています。主稜線から西側に独立した位置にあり、笠を伏せたような端正な山容を呈することから飛騨側・信州側の双方から広く望まれます。
登山ルートは、新穂高温泉(標高約1,091m)を起点に左俣林道から急登の「笠新道」を登るルート、わさび平・鏡平・弓折乗越を経由する「小池新道」ルート、槍見温泉側から「クリヤ谷」を登るルート、さらに双六岳と結ぶ縦走・周回ルートが整備されています。岐阜県山岳グレーディングではいずれのルートも体力度6〜9・技術的難易度B〜C(1泊〜3泊以上が適当・地図読みやハシゴ・鎖場、雪渓通過、渡渉を伴う登山道)に区分されており、山小屋またはテント場での宿泊を前提とした余裕ある山行計画が必要です。
ルート解説(岐阜県山岳グレーディング・日本百名山グレーディング)
岐阜県「岐阜県山岳グレーディング一覧表」および長野県等が公表する「日本百名山における登山ルート・グレーディング一覧表」における笠ヶ岳の主要5ルートの数値は以下の通りです。
| ルート名 | 体力度 | 技術的難易度 | 合計コースタイム | ルート長 | 累積登り / 下り |
|---|---|---|---|---|---|
| 新穂高<笠新道>往復 | 6 | C | 14.9時間(約14時間54分) | 22.3km | 2,410m / 2,410m |
| 新穂高<笠新道・小池新道>周回 | 7 | C | 16.5時間(約16時間30分) | 29.3km | 2,680m / 2,680m |
| 新穂高<小池新道>往復 | 8 | B | 18.4時間(約18時間24分) | 36.3km | 2,970m / 2,970m |
| 新穂高・槍見<笠新道・クリヤ谷>縦走 | 6 | C | 15.5時間(約15時間30分) | 18.5km | 2,230m / 2,350m |
| 双六岳→笠ヶ岳(新穂高)<笠新道>周回 | 9 | C | 21.2時間(約21時間12分) | 36.6km | 3,290m / 3,290m |
※体力度6〜7は「1〜2泊以上が適当」、体力度8〜9は「2〜3泊以上が適当」な行程です。技術的難易度Bは「沢、崖、雪渓などを通過し、登山経験や地図読み能力が必要」、Cは「ハシゴ・くさり場、または案内標識などのない一面の岩場や長大な雪渓などを通過し、確実な登下降技術が必要」なランクです。
1. 新穂高温泉<笠新道>往復・小池新道周回コース
新穂高温泉から左俣林道をわさび平方面へ進み、笠新道登山口から杓子平・抜戸岳を経て笠ヶ岳へ向かうルートです。笠新道は水場がなく標高差約1,300mを一気に登る急登が続くため、早朝出発と十分な水分携行が求められます。下山に弓折乗越・鏡平山荘・わさび平小屋を経由する「小池新道」を組み合わせる周回コース(体力度7・難易度C、16.5時間、29.3km)も多く歩かれています。
コースデータ(岐阜県山岳グレーディング)
- 新穂高<笠新道>往復: 体力度 6 / 難易度 C / 合計コースタイム 14.9時間(約14時間54分) / ルート長 22.3km / 累積標高差 登り 2,410m・下り 2,410m
- 新穂高<笠新道・小池新道>周回: 体力度 7 / 難易度 C / 合計コースタイム 16.5時間(約16時間30分) / ルート長 29.3km / 累積標高差 登り 2,680m・下り 2,680m
- 主な経由地: 新穂高温泉(標高1,091m) ⇄ 笠新道登山口 ⇄ 杓子平 ⇄ 抜戸岳(分岐) ⇄ 笠ヶ岳山荘 ⇄ 笠ヶ岳山頂(標高2,898m)(周回時は抜戸岳 → 弓折乗越 → 鏡平山荘 → わさび平小屋 → 新穂高温泉)
2. 新穂高温泉<小池新道>往復コース
新穂高温泉から左俣林道を歩き、わさび平小屋(新穂高温泉から約80分)、小池新道、鏡平山荘(新穂高温泉から約5時間)、弓折乗越、大ノマ乗越、抜戸岳を経て笠ヶ岳山荘(鏡平山荘から約5時間30分)・笠ヶ岳山頂に至るルートです。笠新道に比べて急登が緩和される一方、歩行距離が往復36.3kmと長いため、鏡平山荘またはわさび平小屋と笠ヶ岳山荘を組み合わせた2泊3日以上の計画が適しています。
コースデータ(岐阜県山岳グレーディング)
- 体力度 / 技術的難易度: 体力度 8 / 難易度 B
- 合計コースタイム: 18.4時間(約18時間24分)
- ルート長: 36.3km
- 累積標高差: 登り 2,970m / 下り 2,970m
3. 新穂高・槍見<クリヤ谷>コース・双六岳周回コース
笠ヶ岳山頂から雷鳥岩・クリヤノ頭を経て槍見温泉(標高968m)へ下るクリヤ谷ルートは、岐阜県山岳グレーディングの備考欄で「クリヤ谷増水時渡渉注意」と明記されています。降雨時や増水時は渡渉が危険となるため、事前の気象確認とルート変更の判断が必要です。また、小池新道から双六小屋・双六岳を経て稜線を笠ヶ岳へ縦走し笠新道を下る周回コースは、体力度9・難易度C(21.2時間・36.6km)の本格的な長期縦走ルートです。
アクセスと登山口・駐車場情報(新穂高温泉)
公共交通機関
- JR高山本線 高山駅(濃飛バス): 高山濃飛バスセンターから新穂高温泉行き路線バスに乗車し、終点「新穂高温泉」下車。
- JR中央本線・篠ノ井線 松本駅方面: アルピコ交通・濃飛バスの特急バスで平湯温泉へ出て、新穂高温泉行き路線バスに乗り継ぎます。
マイカー(新穂高温泉登山者用駐車場・2026年9月版マップ)
岐阜県「北アルプス山岳情報(新穂高温泉登山口駐車場マップ 2026年9月版)」によると、新穂高温泉周辺の登山者用駐車場は以下の通り区分されています。
- P3 新穂高第2駐車場(有料・先着順): 普通車2,000円/24時間、通年開設・24時間入出庫可(現金1,000円札・500円/100円硬貨、クレジットカード、交通系IC等対応、QR決済不可)。
- P4 深山登山者用駐車場(有料・予約必須): 普通車2,600円/日(冬期閉鎖、専用予約サイトにて事前予約必須)。
- P6 新穂高第4駐車場(有料・予約必須): 普通車2,600円/日、6月〜10月開設・24時間入出庫可(専用予約サイトにて事前予約必須)。
- P7 鍋平登山者用駐車場(有料・予約必須): 日帰り(12時間まで)1,000円、1日(24時間まで)2,000円、2日(48時間まで)4,000円(冬期閉鎖、事前予約必須)。
- P5 新穂高第3駐車場: 6月〜10月開設、先着順・無料(ただし2026年10月1日〜14日はWEB予約式有料化実証実験・1,000円/日を実施)。
- P8・P10 鍋平登山者駐車場 / 臨時駐車場: 夏秋開設、無料・先着順・24時間入出庫可(P7〜P11から新穂高センターへは新穂高登山口連絡歩道を徒歩約30〜60分、または第1ロープウェイ下り利用)。
山小屋・テント場情報(2026年シーズン)
1. 笠ヶ岳山荘(山頂直下・標高約2,820m)
北アルプス山小屋友交会および北アルプス山岳観光魅力向上協議会(岐阜県側)の公式情報によると、2026年シーズンの営業概要は以下の通りです。
- 2026年営業期間: 2026年10月11日(日)宿泊までで営業終了
- 収容人数: 約100名
- テント場: あり(水場・外トイレあり)
- 連絡先: 090-7020-5666(現地電話)
2. 鏡平山荘(標高2,300m・小池新道)
双六小屋グループ公式サイトによると、2026年シーズンの営業概要は以下の通りです。
- 2026年開設期間: 2026年7月10日(金)〜10月15日(木)(宿泊予約制・収容110名)
- 宿泊料金(2026年・大人1名税込): 1泊2食 15,500円 / 1泊夕食 14,000円 / 素泊まり 11,000円 / 弁当 1,500円
- テント場: なし(設営禁止)
3. わさび平小屋(標高1,400m・左俣林道)
- 2026年開設期間: 2026年7月10日(金)〜10月20日(火)(宿泊予約制・収容65名)
- 宿泊料金(2026年・大人1名税込): 1泊2食 13,000円 / 1泊夕食 11,500円 / 素泊まり 9,500円 / 弁当 1,500円(宿泊者のみ15:30〜20:30入浴可)
- テント場: 約30張(予約不要、幕営料1人1泊 2,000円、外トイレチップ1回200円)
4. 双六小屋(標高2,600m・双六池畔)
- 2026年開設期間: 2026年7月10日(金)〜10月20日(火)(宿泊予約制・収容150名)
- 宿泊料金(2026年・大人1名税込): 1泊2食 15,500円 / 1泊夕食 14,000円 / 素泊まり 11,000円 / 弁当 1,500円
- テント場: 約150張(特定日のみWEB事前予約制、幕営料1人1泊 2,000円、外トイレチップ1回200円)
見どころ
1. 笠ヶ岳山頂からの360度展望と端正な山容
主稜線から西へ張り出した独立峰に近い位置にあるため、標高2,898mの山頂からは槍ヶ岳・穂高連峰の西面全体をはじめ、双六岳・黒部五郎岳・薬師岳・立山・劔岳、南方の乗鞍岳・御嶽山・白山まで360度の展望が広がります。
2. 鏡平(鏡池)に映る槍・穂高連峰と杓子平のカール地形
小池新道上の鏡平(標高2,300m)では、鏡池の水面に槍ヶ岳や穂高連峰の西面が映り込む景観が見られます。また、笠新道上部から稜線に至る杓子平は広大な圏谷(カール)状の地形となっており、夏季には多くの高山植物が咲く「花の百名山」としても知られています。
注意点と安全登山のポイント
1. 笠新道の長大な急登と水分補給計画
笠新道は左俣林道の登山口から杓子平・抜戸岳分岐まで標高差約1,300mの急登が連続し、途中に水場や山小屋がありません。夏場の高温時は熱中症や脱水のリスクが高まるため、十分な水分・電解質を携行し、早朝に出発する計画が不可欠です。
2. 稜線の強風・低体温症と雪渓・渡渉への備え
抜戸岳から笠ヶ岳山荘・笠ヶ岳山頂にかけての稜線は森林限界を超えた吹きさらしの地形で、悪天候時は強風と雨により急激に体温を奪われます。7月〜8月でも杓子平上部や小池新道・秩父沢周辺に雪渓が残るため、状況に応じた軽アイゼン等の携行や、クリヤ谷ルートにおける増水時の渡渉回避を徹底してください。
3. 岐阜県北アルプス地区における登山届提出義務
岐阜県では「岐阜県北アルプス地区及び活火山地区における山岳遭難の防止に関する条例」により、北アルプス地区への入山にあたって登山届の提出が義務付けられています。オンライン(コンパス等)または新穂高登山指導センター・登山口のポストで必ず提出してください。
参考リンク
執筆・確認
山日記編集部
実際の山行記録や公的機関・自治体の最新情報をもとに、登山ルート・装備・安全対策をわかりやすく整理して発信しています。 登山道・交通・施設情報は変わるため、記事公開後も必要に応じて更新し、最新確認先も案内しています。
