
写真:Koda6029, Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)/中央アルプスの雪の稜線を歩く登山者
晩秋〜初冬の登山のサングラスと紫外線対策|11月の低い太陽と西日のまぶしさ、雪の照り返しと雪目、レンズの表示の読み方と日焼け止め
「夏ほど日差しが強くないから、秋の山にサングラスはいらない」と思っていませんか。気象庁の観測では11月の紫外線の強さ(UVインデックス)は8月の3分の1ほどですが、太陽の高さは正午でも約36°と低く、下山する午後には西日が真正面から目に入ります。さらに初雪が積もると、新雪は紫外線の約80%を照り返し、標高が1,000m上がるごとに紫外線は10〜12%強くなります。環境省・気象庁・国立天文台・消費者庁の資料をもとに、晩秋〜初冬の山でまぶしさと紫外線が強くなる場面、雪目(紫外線角膜炎)の症状と対処、サングラスの表示(紫外線透過率・可視光線透過率・偏光)の読み方、日焼け止めと唇のケアまでを初心者向けにまとめました。
目次
- 先に結論|晩秋のサングラスは「紫外線」より先に「低い太陽のまぶしさ」と「雪の照り返し」のために持つ
- 晩秋の紫外線はどのくらい?|UVインデックスで見ると夏の3分の1
- まぶしさの正体は「低い太陽」|11月の正午の太陽は6月の半分以下の高さ
- 初雪が積もると状況が変わる|新雪は紫外線の約80%を照り返す
- 雪目(紫外線角膜炎)とは?|症状が出るのは夜から翌朝
- 登山用サングラスの選び方|表示ラベルで見る3つの数字
- 1. 紫外線透過率は「低いほどよい」
- 2. 可視光線透過率は「場面で選ぶ」
- 3. 偏光レンズは「水面や濡れた路面のギラつき」に強い
- 形とフィット|横と下からの光を防ぐ
- 肌と唇の紫外線対策|日焼け止めは2〜3時間おきに塗り直す
- 晩秋〜初冬の山で光から目を守る持ち物チェックリスト
- よくある質問
- 秋の低山でもサングラスは必要ですか?
- 曇りの日でもサングラスをかけた方がよいですか?
- 安いサングラスでも大丈夫ですか?
- メガネ(度付き)に紫外線カット機能があれば十分ですか?
- 雪目になったら、目薬をさせばよいですか?
- まとめ
- 参考リンク
先に結論|晩秋のサングラスは「紫外線」より先に「低い太陽のまぶしさ」と「雪の照り返し」のために持つ
紅葉が終わりに近づく10月下旬から11月の山は、空気が澄んで遠くの山までくっきり見える日が増えます。一方で、夏のような強い日差しの印象はないため、「秋はサングラスも日焼け止めもいらない」と考えている方も多いのではないでしょうか。たしかに紫外線の量そのものは夏より少なくなります。ただ、この季節は太陽が一日中低い位置にあるので光が目に入りやすく、初雪が積もった稜線では足もとからの照り返しも加わります。晩秋〜初冬の山でサングラスを持つ理由は、夏とは少し違うのです。
この記事のポイントは次の5つです。
- 気象庁がつくば市で観測している紫外線の強さ(日最大UVインデックス)の月平均は、2016〜2025年の平均で8月が7.6、11月が2.4です。11月の紫外線は平地では夏の3分の1ほどで、区分では「弱い」にあたります。
- ところが太陽の高さは、東京の11月15日で正午ごろでも約36°しかありません(6月は約78°)。日の入りは16時35分ごろで、西南西に沈みます。午後に南〜西向きの斜面を下ったり、帰りの車で西へ向かったりすると、低い太陽が真正面から目に入ります。
- 環境省の資料では、新雪は紫外線の約80%を反射し、草地や土の地面(10%以下)の8倍以上です。さらに標高が1,000m上がるごとに紫外線は10〜12%強くなります。初雪が積もった高い山では、季節のわりに目と肌が受ける紫外線が大きく増えます。
- 雪の上で強い紫外線を浴びると、その日の夜から翌朝にかけて「雪目(紫外線角膜炎)」が起こることがあります。白目の充血、ゴロゴロする異物感、涙、強い目の痛みが出ます。予防は、紫外線をカットするサングラスを、横や下からのすき間が少ない形でかけることです。
- サングラスを選ぶときは、家庭用品品質表示法で表示が決められている「紫外線透過率」(低いほど紫外線を通さない)と「可視光線透過率」(低いほど暗い)を見ます。日焼け止めは2〜3時間おきに塗り直し、唇も保護します。
日の短さを前提にした行動計画は「晩秋の登山は日没に注意」、初雪のころの天気の読み方は「初冠雪のニュースが出たら|晩秋の山の天気の読み方」でまとめています。この記事では、その中でも「目と肌を光から守る」ことに絞って解説します。

晩秋の紫外線はどのくらい?|UVインデックスで見ると夏の3分の1
紫外線の強さを表す目安として、気象庁や環境省は「UVインデックス」という数字を使っています。紫外線が肌に与える影響の大きさを、1〜11以上の数字で表したものです。環境省の「紫外線環境保健マニュアル2020」では、UVインデックスの区分と、とるべき対策を次のように示しています。
| UVインデックス | 区分 | 対策の目安 |
|---|---|---|
| 1〜2 | 弱い | 安心して戸外で過ごせる |
| 3〜5 | 中程度 | 日中はできるだけ日陰を利用する |
| 6〜7 | 強い | 日中はできるだけ日陰を利用する(長袖、日焼け止め、帽子を利用) |
| 8〜10 | 非常に強い | 日中の外出はできるだけ控える |
| 11以上 | 極端に強い | 日中の外出はできるだけ控える |
では、実際の季節ごとの数字はどうでしょうか。気象庁はつくば市(茨城県)で紫外線を観測しており、1日のうちでいちばん強かった時刻のUVインデックス(日最大UVインデックス)の月平均を公開しています。2016〜2025年の10年分を平均すると、10月が3.5、11月が2.4、12月が1.7です。夏のピークの8月(7.6)と比べると、11月は約3分の1になります。

この数字だけを見ると、「11月はUVインデックス3未満だから対策はいらない」と思えます。しかし、つくばは標高の低い平地で、しかも雪のない場所の観測値です。山では次の章で説明する標高と雪の影響が加わるため、平地と同じには考えられません。また、10月はまだ3.5あり、10月下旬の晴れた日の昼前後は「中程度」の日も珍しくありません。
もうひとつ注意したいのが雲です。環境省のマニュアルでは、薄い雲の場合、紫外線の80〜90%が雲を通り抜けるとされています。うす曇りでまぶしさを感じにくい日でも、紫外線は晴れの日とあまり変わらないことがあるのです。逆に、日陰では日なたの約50%まで下がります。
まぶしさの正体は「低い太陽」|11月の正午の太陽は6月の半分以下の高さ
晩秋の山で目がつらくなる原因は、紫外線よりも、目に直接入ってくる太陽の光(まぶしさ)であることが多いです。夏の太陽は頭の真上近くを通るので、帽子のつばで目に入る光をかなり防げます。ところが11月の太陽は低く、帽子のつばの下から光が差し込んできます。
国立天文台暦計算室の2026年の東京の暦から、各月15日の太陽の動きを抜き出すと次のとおりです。
| 日付(東京) | 日の出 | 南中時の太陽の高さ | 日の入り | 日の入りの方角 |
|---|---|---|---|---|
| 6月15日 | 4時25分 | 約77.6° | 18時58分 | 約300°(西北西) |
| 10月15日 | 5時47分 | 約45.9° | 17時06分 | 約260°(西) |
| 11月1日 | − | 約40.0° | 16時46分 | − |
| 11月15日 | 6時16分 | 約35.9° | 16時35分 | 約248°(西南西) |
| 11月30日 | − | 約32.7° | 16時28分 | − |
| 12月15日 | 6時43分 | 約31.1° | 16時29分 | 約242°(西南西) |
出典:国立天文台暦計算室「日の出入り(東京)」(方角は北を0°として時計回りに測った値)
11月15日の太陽は、正午ごろでも地平線から約36°の高さにしか上がりません。これは6月の半分以下です。さらに午後になると太陽はどんどん低くなり、日の入りの1〜2時間前には、ちょうど人の目の高さに近い角度から光が差し込みます。
山の行動に当てはめると、まぶしさがつらくなるのは次のような場面です。
- 午後、南向きや西向きの斜面を下るとき。足もとを見たい方向に太陽があり、木の葉が落ちた林では光をさえぎるものもありません。
- 稜線を西へ向かって歩くとき。11月の太陽は西南西に沈むため、14時以降に西へ進むと、ほぼ正面から光を受け続けます。
- 落ち葉の積もった道や濡れた岩、霜がとけた道が光を反射するとき。光る路面は凹凸や浮き石が見えにくくなります。
- 下山後に車で帰るとき。日の入り前後は太陽がちょうどフロントガラスの高さに来ます。疲れた目で西へ運転するのは、山道以上に危ないこともあります。

低い太陽には、もうひとつやっかいな点があります。明るい面と影の差が大きくなることです。日なたの明るい岩場から、太陽が尾根に隠れた暗い樹林帯へ入ると、目が慣れるまでに少し時間がかかります。サングラスをかけたままでは暗すぎると感じたら、すぐ外せるようにしておくことも大切です。首から下げるストラップや、帽子のつばにかけられる形のものがあると、着けたり外したりが楽になります。
日の入りの早さは、まぶしさだけでなく行動時間そのものを短くします。下山の目安時刻の決め方は「晩秋の登山は日没に注意」で、日の入りから逆算する方法をくわしく紹介しています。
初雪が積もると状況が変わる|新雪は紫外線の約80%を照り返す
晩秋〜初冬の山でいちばん気をつけたいのが、初雪や新雪の照り返しです。環境省のマニュアルでは、地面の種類ごとに紫外線を反射する割合が次のように紹介されています(WHOの資料による値)。

| 地面の種類 | 紫外線の反射率 |
|---|---|
| 新雪 | 約80% |
| 砂浜 | 10〜20% |
| 水面 | 10〜20% |
| コンクリート・アスファルト | 約10% |
| 草地・芝生・土の地面 | 10%以下 |
ふだんの登山道は土や草、落ち葉の上なので、足もとからの照り返しはわずかです。ところが一面の新雪になると、空から届いた紫外線の8割近くが下から跳ね返ってきます。帽子のつばは上からの光を防げますが、下からの光は防げません。マニュアルでも、冬は紫外線が弱い季節であるものの、雪のある高い山などでは反射によって浴びる量が2倍近くになることがあると説明されています。
標高の影響も加わります。紫外線は標高が1,000m上がるごとに10〜12%強くなります。たとえば標高2,500mの稜線なら、平地より25〜30%ほど強い計算です。空気が薄く、紫外線を散乱・吸収する空気の層が少なくなるためです。
これらを合わせると、平地では「弱い」はずの11月でも、初雪の積もった標高2,000〜3,000m級の稜線では、目と肌が受ける紫外線は平地の夏の晴れた日に近づくことがあります。11月の北アルプスや八ヶ岳、中央アルプスの稜線、ロープウェイで一気に標高を上げられる山では、雪が積もった晴れの日ほど注意が必要です。

なお、雪が少しだけ積もった「うっすら雪」の日も油断できません。雪面の明るさに目が慣れにくいうえ、雪の下の凍った場所や木の根が見分けにくくなります。凍った道の歩き方や軽アイゼンの選び方は「晩秋の凍結した登山道」を参考にしてください。
雪目(紫外線角膜炎)とは?|症状が出るのは夜から翌朝
雪の上で強い紫外線を目に浴び続けると、目の表面(角膜)がやけどのような炎症を起こすことがあります。これが「雪目(ゆきめ)」と呼ばれる紫外線角膜炎です。環境省のマニュアルでは、次のように説明されています。
- 症状:白目の充血、ゴロゴロとした異物感、涙が止まらない。ひどくなると強い目の痛みが出る。
- 出るタイミング:昼間に紫外線を浴びた場合、夜から深夜、あるいは翌朝にかけて症状が出る。
- 経過:大部分は24〜48時間で自然に治る。
ここで大事なのは、症状がすぐには出ないという点です。雪の稜線を歩いている間は「まぶしいけれど平気」と感じていても、山小屋に着いた夜や、帰宅した翌朝になってから急に目が痛み出します。日帰りなら家に帰ってからですが、山小屋泊やテント泊では、翌朝に目を開けられないほどの痛みで行動できなくなるおそれもあります。
雪目を防ぐためにいちばん効果があるのは、雪の上ではサングラスを外さないことです。曇っていても、薄い雲なら紫外線の多くは通り抜けますし、雪面からの照り返しも続いています。「曇ってきたから外そう」と考えずに、雪がある場所ではかけ続けるのが基本です。
もし雪目のような症状が出たら、次のことを心がけてください。
- 目をこすらない。コンタクトレンズを使っている場合は外す。
- 冷たいタオルなどで目を冷やし、暗い場所で目を休める。
- 痛みが強いとき、見え方がおかしいとき、2日たっても良くならないときは、眼科を受診する。
- 症状がある状態で、翌日も雪の上を歩く計画は見直す。予備のサングラスがない場合は特に慎重に判断する。
紫外線を長く浴び続けると、目には慢性的な影響(白目が黒目の方へ伸びてくる翼状片や、白内障など)も起こりうると、環境省のマニュアルでは紹介されています。雪山だけの問題ではなく、毎年山に通う方ほど、季節を問わず目を守る習慣をつけておくと安心です。

登山用サングラスの選び方|表示ラベルで見る3つの数字
サングラスは、家庭用品品質表示法という法律で、表示しなければならない項目が決められています。消費者庁の「雑貨工業品品質表示規程」の手引きによると、サングラスには次の項目が表示されています。
| 表示項目 | 意味 | 登山での見方 |
|---|---|---|
| 品名 | 「サングラス」「偏光サングラス」「ファッション用グラス」のいずれか | 偏光サングラスと名乗れるのは、偏光度90%以上・偏光軸のずれ15度以下のものだけ |
| 紫外線透過率 | レンズを通り抜ける紫外線の割合(%) | 数字が小さいほど紫外線を通さない。1.0%以下などの表示を目安に |
| 可視光線透過率 | レンズを通り抜ける目に見える光の割合(%) | 数字が小さいほど暗い。調光レンズは一番濃くなったときの値 |
| レンズ・枠の材質 | ガラスかプラスチックか、枠の材料 | 山では割れにくく軽いプラスチックレンズが扱いやすい |
| 使用上の注意 | 保管や使い方の注意 | 偏光サングラスには、車のフロントガラス越しに干渉色が見えることがある旨が書かれる |
出典:消費者庁「サングラス」(家庭用品品質表示法 雑貨工業品)、消費者庁「雑貨工業品品質表示規程」
1. 紫外線透過率は「低いほどよい」
いちばん大事なのは紫外線透過率です。手引きでは、紫外線透過率は波長313nmと365nmで測定し、表示は365nmの値が望ましいとされています。表示値の許容範囲は±10%以内です。数字が「1.0%以下」なら、紫外線の99%以上をカットするという意味になります。
商品によっては「UVカット」「UV400」といった表示もあります。UV400は、一般に波長400nmまでの光をカットするという意味で使われています。いずれにしても、紫外線を防ぐ性能がはっきり示されているものを選ぶのが基本です。環境省のマニュアルでも、紫外線防止効果がはっきり示されたものを選ぶこと、プラスチックのレンズでは「UVカット」表示のあるものを選ぶことがすすめられています。
2. 可視光線透過率は「場面で選ぶ」
可視光線透過率は、レンズの暗さを表します。表示の許容範囲は±7以内です。数字が小さいほど暗く、まぶしさを強く抑えられますが、そのぶん暗い樹林帯や夕方には見えにくくなります。
晩秋〜初冬の山での目安は次のように考えるとわかりやすいです。
| 場面 | 可視光線透過率の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 樹林帯が中心の低山、曇りの日、夕方の下山 | 30〜50%程度(明るめ) | 暗い林の中でも足もとが見えることを優先 |
| 晴れた日の稜線歩き、西日の中の下山 | 15〜30%程度(標準的な濃さ) | まぶしさを抑えつつ、木陰に入っても見える範囲 |
| 雪の積もった晴天の稜線 | 10〜20%程度(濃いめ) | 雪の照り返しが強い場面向け。樹林帯では外す前提 |
ここで注意したいのは、「色が濃いほど紫外線を防げる」わけではないことです。環境省のマニュアルでは、色の濃いサングラスをかけると瞳孔が普段より大きく開くため、紫外線カットが不十分なレンズでは、かえって多くの紫外線が目の中に入って危険な場合があると注意されています。暗さ(可視光線透過率)と紫外線の防ぎやすさ(紫外線透過率)は、別々に確認してください。
調光レンズ(紫外線の量に合わせて色の濃さが変わるレンズ)は、樹林帯と稜線を行き来する山歩きでは便利です。ただ、ラベルの可視光線透過率は一番濃くなったときの値です。また、気温が低いと色が濃くなりやすく、暗い樹林帯に入ってから明るさが戻るまでに時間がかかることがあります。使い慣れるまでは、明るめの予備のサングラスも持っていくと安心です。
3. 偏光レンズは「水面や濡れた路面のギラつき」に強い
偏光レンズは、水面や濡れた路面、車のボンネットなどで反射したギラギラした光を抑えるレンズです。湖や沢沿いの道、雨上がりの舗装路では見やすくなります。一方で、反射を抑える性質上、凍った路面の照りや、液晶画面(スマートフォンやGPS)の見え方が変わることがあります。凍結の有無を目で確かめたい場面や、地図アプリを見る場面では、サングラスを少しずらして裸眼でも確認するくせをつけておくと安心です。
なお、偏光サングラスには「自動車のフロントガラス越しに使うと、ガラスのひずみの干渉色が見えることがある」という注意表示が義務づけられています。帰りの運転で使う場合は、事前に見え方を確かめておきましょう。トンネルや日没後の運転では、サングラスは外します。
形とフィット|横と下からの光を防ぐ
レンズの性能と同じくらい大事なのが、形とフィットです。環境省のマニュアルでは、目に入る光は正面からだけでなく、上・横・下、さらに後ろからも届くため、小さいレンズや顔に合わないサングラスでは十分に防げないと説明されています。強い光から目を守るには、ゴーグルタイプや、顔にフィットしてある程度大きさのあるものをかけ、帽子もかぶるとよいとされています。また、つばの広い帽子は目に届く紫外線を20%以上減らしてくれます。
登山用として選ぶときは、次の点を確かめましょう。
- 顔のカーブに沿う形(ハイカーブ)で、横からの光が入りにくいか。
- 下を向いても、頬との間に大きなすき間ができないか。雪の照り返しは下から来ます。
- 汗をかいても、下りの段差でもずれにくいか。鼻あてや耳にかかる部分を調整できると安心です。
- ニット帽やヘルメット、ネックウォーマーと一緒に着けても、こめかみが痛くならないか。
- 寒い日に息でくもりにくいか。ネックウォーマーを鼻まで上げると、息がレンズに当たりやすくなります。

メガネを使っている方は、度付きのサングラスを作るほか、メガネの上からかけられるオーバーグラスや、度付きレンズを差し込めるタイプもあります。コンタクトレンズの方は、乾燥した冷たい風で目が乾きやすいので、サングラスで風を防ぐ効果も期待できます。
ニット帽やネックウォーマーとの組み合わせ方は「晩秋の登山の帽子とネックウォーマー」でも紹介しています。
肌と唇の紫外線対策|日焼け止めは2〜3時間おきに塗り直す
目と同じように、肌も雪の照り返しを受けます。特に、帽子のつばでは防げない下からの光によって、鼻の下やあごの下、耳など、ふだん日焼けしにくい場所が焼けやすくなります。
日焼け止めの効果は、SPFとPAという2つの表示で示されています。
| 表示 | 防ぐ紫外線 | 意味 |
|---|---|---|
| SPF | 主にUV-B | 肌が赤くなる日焼け(サンバーン)を防ぐ効果の目安。数字が大きいほど効果が高い |
| PA | 主にUV-A | 肌が黒くなる日焼け(サンタン)などを防ぐ効果の目安。「+」の数が多いほど効果が高い |
環境省のマニュアルでは、ハイキングなど長い時間外にいる場合は効果の高いものを選ぶこと、そして日焼け止めは手や衣類に触れたり、汗を拭いたりすると落ちるため、2〜3時間おきに塗り直すことがすすめられています。晩秋の山は汗をかきにくい季節ですが、登りではそれなりに汗をかきますし、鼻水を拭いたりネックウォーマーでこすれたりして落ちやすくなります。休憩のたびに少しずつ塗り直すくらいがちょうどよいでしょう。
晩秋〜初冬の山での肌の対策をまとめると、次のとおりです。
- 雪のある日は、顔・耳・首の後ろ・あごの下まで日焼け止めを塗る。
- 寒さで固まりにくい乳液タイプやジェルタイプを選ぶ。小分けの容器にするとポケットに入れておける。
- 唇は乾燥と紫外線の両方で荒れやすいので、SPF表示のあるリップクリームを使う。
- ネックウォーマーやバラクラバで顔の下半分を覆うと、照り返しと冷たい風の両方を防げる。
- 手の甲も焼けやすいので、手袋を外したままにしない。手袋の選び方は「晩秋の登山の手袋」を参考にしてください。
晩秋〜初冬の山で光から目を守る持ち物チェックリスト
最後に、10月下旬〜11月の山で持っていきたい「光対策」の装備をまとめます。
| 持ち物 | 低山・樹林帯 | 2,000m級以上の稜線・初雪の山 |
|---|---|---|
| サングラス(紫外線透過率の表示つき) | あると安心(西日・運転用) | 必須 |
| 予備のサングラスまたは明るめのレンズ | なくても可 | あると安心(なくしたとき・曇りの日用) |
| サングラスのケース・ストラップ | ストラップがあると便利 | 必須(ザックの中で割れない硬いケース) |
| つばのある帽子 | あると安心 | あると安心(防寒帽と使い分け) |
| 日焼け止め(SPF・PA表示) | あると安心 | 必須 |
| SPF表示のあるリップクリーム | あると安心 | 必須 |
| ネックウォーマー・バラクラバ | 防寒用に | 照り返しと風の対策を兼ねて |
| レンズ拭き | あると安心 | あると安心(くもり・雪の水滴用) |
サングラスは、ザックの中で押しつぶされると曲がったりレンズに傷がついたりします。行動中に外したときはストラップで首から下げるか、胸ポケットではなくケースに入れておきましょう。ジャケットのポケットに入れておくと、しゃがんだときや転んだときに落としやすくなります。
よくある質問
秋の低山でもサングラスは必要ですか?
紫外線の量だけで考えれば、11月の低山では夏ほどの必要性はありません。ただ、晩秋は太陽が低く、午後の下山や帰りの運転で西日が真正面から目に入りやすい季節です。目が疲れやすい方や、西向きの道を下る計画の日は、明るめのレンズのサングラスを1本持っておくと楽になります。
曇りの日でもサングラスをかけた方がよいですか?
雪の上では、曇りの日もかけた方が安心です。環境省のマニュアルでは、薄い雲なら紫外線の80〜90%が通り抜けるとされています。曇りの日は明るさを感じにくいぶん油断しやすく、雪面からの照り返しも続いています。暗さが気になる場合は、明るめのレンズを使ってください。
安いサングラスでも大丈夫ですか?
値段よりも表示を確認してください。紫外線透過率がはっきり表示されていて、顔に合う形であれば、高価なものでなくても紫外線は防げます。逆に、色が濃いだけで紫外線カットの表示がないものは、瞳孔が開いてかえって紫外線が目に入りやすくなるおそれがあります。
メガネ(度付き)に紫外線カット機能があれば十分ですか?
最近のメガネのレンズには紫外線をカットするものも多くあります。ただ、レンズが透明なのでまぶしさは防げませんし、一般的なメガネは横や下からの光にすき間ができやすい形です。雪のある稜線では、メガネの上からかけるオーバーグラスや度付きのサングラスを用意すると安心です。
雪目になったら、目薬をさせばよいですか?
自己判断で市販の目薬を使うより、まず目をこすらずに冷やして休め、症状が強いときは眼科を受診してください。環境省のマニュアルでは、大部分は24〜48時間で自然に治るとされていますが、痛みが強い場合や、2日たっても良くならない場合は、ほかの目の病気の可能性も含めて診てもらうことが大切です。
まとめ
- 11月の紫外線の強さ(UVインデックス)は、平地では8月の約3分の1の2.4で「弱い」範囲です。ただし太陽は正午でも約36°と低く、午後の下山や帰りの運転では西日が目に入りやすくなります。
- 初雪が積もると状況が大きく変わります。新雪は紫外線の約80%を照り返し、標高が1,000m上がるごとに紫外線は10〜12%強くなります。雪のある高い山では、季節のわりに多くの紫外線を浴びます。
- 雪目(紫外線角膜炎)は、紫外線を浴びたその日の夜から翌朝にかけて症状が出ます。雪の上では曇りの日もサングラスを外さないことが一番の予防です。
- サングラスは「紫外線透過率」が低いものを選び、「可視光線透過率」は歩く場所の明るさに合わせて選びます。色の濃さと紫外線の防ぎやすさは別物です。横や下からのすき間が少ない形を選び、帽子も組み合わせます。
- 日焼け止めは2〜3時間おきに塗り直し、鼻の下・あご・耳・唇まで守ります。
晩秋〜初冬の山は、澄んだ空気と初雪の景色が楽しめるいい季節です。目と肌を光から守る準備をして、明るい稜線の景色を最後まで楽しんでください。
参考リンク
執筆・確認
山日記編集部
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