
Alpsdake, Wikimedia Commons(Public domain)/塩見岳から望む荒川三山(悪沢岳・中岳・前岳)
悪沢岳(荒川東岳・荒川三山)登山ガイド|椹島・二軒小屋周回コースと鳥倉(三伏峠)〜椹島縦走、千枚岳・中岳・前岳のルート情報【2026年】
南アルプス南部最高峰で日本百名山に選定されている悪沢岳(荒川東岳・標高3,141m)と荒川三山(中岳・前岳)の登山ガイド。静岡県・長野県の山岳グレーディングに基づく椹島・二軒小屋からの周回コース、鳥倉(三伏峠)〜椹島縦走コースのデータ、アクセスと山小屋情報を整理します。
目次
- 悪沢岳(荒川東岳・荒川三山)の概要
- ルート解説(日本百名山・長野県・静岡県グレーディング)
- 1. 椹島 〜 千枚岳 〜 悪沢岳(荒川三山)〜 赤石岳 周回コース
- 2. 二軒小屋 〜 千枚岳 〜 悪沢岳(荒川三山)周回コース
- 3. 鳥倉(越路ゲート・三伏峠)〜 小河内岳 〜 荒川三山 〜 椹島 縦走コース
- アクセスと登山口情報
- 1. 静岡県側(椹島ロッジ・二軒小屋ロッジ)
- 2. 長野県側(大鹿村・鳥倉登山口)
- 山小屋・避難小屋情報
- 見どころ
- 1. 怪獣の背のような悪沢岳の岩峰と3,141mの大展望
- 2. 荒川前岳カールのお花畑
- 注意点と安全登山のポイント
- 1. 千枚岳〜悪沢岳間の痩せ尾根・岩場での滑落防止
- 2. 標高3,000m超の長い稜線とエスケープルートの少なさ
- 参考リンク
悪沢岳(荒川東岳・荒川三山)の概要
悪沢岳(わるさわだけ・標高3,141m)は、静岡県静岡市葵区に位置する南アルプス(赤石山脈)中南部の高峰で、国土地理院の地形図では荒川東岳(あらかわひがしだけ)と表記されます。西側に連なる荒川中岳(標高3,083m)、**荒川前岳(標高3,068m)と合わせた3峰の総称が「荒川岳(荒川三山)」**であり、「日本百名山」に選定されています。南アルプス南部の3,000m峰の一つです。
登山口となる静岡県側の大井川源流部(椹島ロッジ・二軒小屋ロッジ)や長野県大鹿村側の鳥倉(三伏峠)のいずれも奥深い山域に位置し、すべての主要ルートが山岳グレーディングで技術的難易度**「D」・体力度5〜9**に指定されている上級者向けの3,000m峰です。
ルート解説(日本百名山・長野県・静岡県グレーディング)
「日本百名山における登山ルート・グレーディング一覧表」(静岡県・長野県)および「長野県山のグレーディング(2026年版)」に掲載されている荒川岳(悪沢岳)の主要ルートの数値は以下の通りです。
| ルート名 | 体力度 | 技術的難易度 | 合計コースタイム | ルート長 | 累積登り / 下り |
|---|---|---|---|---|---|
| 【周】千枚岳・荒川岳(二軒小屋) | 5 | D | 12.5時間(12時間30分) | 14.7km | 1,970m / 1,970m |
| 【周】千枚岳→荒川岳→赤石岳(椹島) | 8 | D | 19.8時間(約19時間48分) | 27.4km | 3,290m / 3,290m |
| 【縦】荒川岳(前岳)→荒川岳(東岳)(鳥倉・椹島) | 9 | D | 20.5時間(20時間30分) | 32.4km | 3,200m / 3,710m |
※体力度5は「1〜2泊以上が適当」、体力度8〜9は「2〜3泊以上が適当」な行程です。技術的難易度Dは「厳しい岩稜や不安定なガレ場、ハシゴ・くさり場、または長大な雪渓が連続し、高度な登下降技術が必要」なランクです。
1. 椹島 〜 千枚岳 〜 悪沢岳(荒川三山)〜 赤石岳 周回コース
静岡県側の拠点である椹島(さわらじま)ロッジ(標高1,120m)から千枚尾根を登り、千枚小屋を経て千枚岳(標高2,880m)、丸山、そして大岩が重なる岩稜を越えて最高峰の悪沢岳(荒川東岳・標高3,141m)へ至る王道ルートです。悪沢岳から一度鞍部へ下り、中岳(中岳避難小屋)・前岳を踏んで荒川小屋へ下った後、大聖寺平・小赤石岳・赤石岳(標高3,121m)を縦走して大倉尾根(赤石小屋経由)で椹島ロッジへ戻る南アルプス南部屈指の周回コース(2泊3日〜3泊4日)として広く歩かれています。
コースデータ(日本百名山グレーディング一覧表・静岡県)
- 体力度 / 技術的難易度: 体力度 8 / 難易度 D
- 合計コースタイム: 19.8時間(約19時間48分)
- ルート長: 27.4km
- 累積標高差: 登り 3,290m / 下り 3,290m
- 主な経由地: 椹島ロッジ(標高1,120m) → 千枚小屋 → 千枚岳 → 丸山 → 悪沢岳(荒川東岳・3,141m) → 荒川中岳(中岳避難小屋)・前岳 → 荒川小屋 → 大聖寺平 → 小赤石岳 → 赤石岳(3,121m) → 赤石小屋 → 椹島ロッジ
2. 二軒小屋 〜 千枚岳 〜 悪沢岳(荒川三山)周回コース
大井川源流の二軒小屋ロッジ(標高1,390m)を起点とし、マンノー沢頭・千枚岳から悪沢岳・中岳・前岳をめぐって二軒小屋へ周回するコースです。
コースデータ(日本百名山グレーディング一覧表・静岡県)
- 体力度 / 技術的難易度: 体力度 5 / 難易度 D
- 合計コースタイム: 12.5時間(12時間30分)
- ルート長: 14.7km
- 累積標高差: 登り 1,970m / 下り 1,970m
3. 鳥倉(越路ゲート・三伏峠)〜 小河内岳 〜 荒川三山 〜 椹島 縦走コース
長野県大鹿村側の越路ゲート(標高1,630m)・鳥倉登山口から三伏峠小屋(標高2,580m)へ登り、烏帽子岳・小河内岳(標高2,802m)・板屋岳・高山裏避難小屋を経て荒川前岳へ登り上げ、荒川中岳・悪沢岳(東岳)・千枚岳から椹島ロッジ(標高1,120m)へ下る南北縦走ルートです。長野県側からの入山アプローチとして利用され、三伏峠小屋・高山裏避難小屋・中岳避難小屋・荒川小屋・千枚小屋などを繋ぐ2泊3日〜3泊4日の行程となります。
コースデータ(長野県山のグレーディング 2026年版)
- 体力度 / 技術的難易度: 体力度 9 / 難易度 D
- 合計コースタイム: 20.5時間(20時間30分)
- ルート長: 32.4km
- 累積標高差: 登り 3,200m / 下り 3,710m
- 主な経由地: 越路ゲート(標高1,630m) → 鳥倉登山口 → 三伏峠(2,580m) → 烏帽子岳 → 小河内岳 → 高山裏避難小屋 → 荒川前岳 → 荒川中岳 → 悪沢岳(3,141m) → 千枚岳 → 千枚小屋 → 椹島ロッジ(1,120m)
アクセスと登山口情報
1. 静岡県側(椹島ロッジ・二軒小屋ロッジ)
椹島ロッジおよび二軒小屋ロッジへ通じる東俣林道(畑薙第一ダム以北)は、一般車両の乗り入れが禁止(マイカー規制)されています。例年、夏山シーズンには畑薙第一ダム手前の臨時駐車場から山小屋宿泊者向けの送迎バス等が運行されますが、林道の崩落・工事による通行規制や山小屋の営業条件が年により異なるため、入山前に静岡市・静岡県の公式発表および山小屋の最新情報を必ず確認してください。
2. 長野県側(大鹿村・鳥倉登山口)
三伏峠小屋公式サイトの案内によると、長野県大鹿村側のアクセスは以下の通りです。
- 越路ゲート無料駐車場: 大鹿村役場から国道152号を約3km南下した三叉路を左折し、鳥倉林道を約40分進むと越路ゲート(標高1,630m・無料駐車場あり)に到着します。越路ゲートから鳥倉登山口までは舗装林道を徒歩約50分です。
- 南アルプス登山バス(鳥倉線): 夏山シーズンにはJR飯田線・伊那大島駅や中央道松川バス停方面から鳥倉登山口まで季節バスが運行されます。
山小屋・避難小屋情報
悪沢岳(荒川三山)周辺の主な山小屋・避難小屋は以下の通りです。南アルプス南部の山小屋・避難小屋は事前予約制や営業期間の限定があるため、2026年シーズンの営業期間・予約方法・料金・水場の状況を必ず入山前に確認してください。
- 千枚小屋: 千枚岳の南東斜面(樹林帯上限付近)に建つ山小屋(テント場あり)。
- 荒川小屋: 荒川前岳・中岳の南西斜面、大聖寺平へと向かうトラバース道沿いに建つ山小屋(テント場あり)。
- 中岳避難小屋: 荒川中岳(標高3,083m)山頂直下に建つ標高3,000m超の避難小屋(テント場なし)。
- 高山裏避難小屋・小河内岳避難小屋: 三伏峠〜荒川前岳間の縦走路上に位置する避難小屋。
- 三伏峠小屋(標高2,580m): 鳥倉登山口から約3時間の三伏峠に建つ山小屋。三伏峠小屋公式案内によると、宿泊は宿泊日21日前からのインターネット予約制(クレジットカード決済必須)、テント場は予約不要、水場は往復約30分です。
見どころ
1. 怪獣の背のような悪沢岳の岩峰と3,141mの大展望
丸山から悪沢岳(荒川東岳)へ向かう稜線は、赤茶けた岩塊が積み重なる独特の岩峰となっており、山頂(標高3,141m)からは東に富士山、北に塩見岳・仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳・北岳・間ノ岳、西に荒川中岳・前岳と中央アルプス・御嶽山、南に赤石岳・聖岳まで南アルプス全域を見渡す大パノラマが広がります。
2. 荒川前岳カールのお花畑
荒川前岳の南東斜面(荒川小屋上部)には氷河期に形成されたカール地形が広がり、7月中旬〜8月上旬にかけてシナノキンバイ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲなどの大群落が斜面を彩ります。また、周辺のハイマツ帯は特別天然記念物・ライチョウの生息地としても知られています。
注意点と安全登山のポイント
1. 千枚岳〜悪沢岳間の痩せ尾根・岩場での滑落防止
千枚岳から丸山、さらに悪沢岳山頂へ至る区間には切れ落ちた岩稜やガレ場があり、強風時や視界不良時は特に慎重な足運びと三点支持が求められます。落石や転倒に備えてヘルメットを着用してください。
2. 標高3,000m超の長い稜線とエスケープルートの少なさ
荒川三山周辺は一度稜線に上がるとエスケープルートがほとんどなく、どの登山口へ下るにも長時間の歩行を要します。悪天候が予想される場合は無理な入山や縦走を控え、予備日を含めた余裕ある登山計画書を提出してください。
参考リンク
執筆・確認
山日記編集部
実際の山行記録や公的機関・自治体の最新情報をもとに、登山ルート・装備・安全対策をわかりやすく整理して発信しています。 登山道・交通・施設情報は変わるため、記事公開後も必要に応じて更新し、最新確認先も案内しています。
