
Yasu, Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)/黒部五郎カールから望む黒部五郎岳
黒部五郎岳 登山ガイド|折立・飛越トンネル・新穂高温泉コースと黒部五郎カール、黒部五郎小舎・太郎平小屋情報【2026年】
北アルプス深部に位置する日本百名山・黒部五郎岳(標高2,840m)の登山ガイド。富山県・岐阜県山岳グレーディングに基づく折立・飛越トンネル・新穂高温泉からの4コース、氷河地形の黒部五郎カール、黒部五郎小舎・太郎平小屋・双六小屋の2026年営業情報と注意点を整理します。
目次
- 黒部五郎岳の概要
- ルート解説(富山県・岐阜県山岳グレーディング・日本百名山グレーディング)
- 1. 折立(太郎平・北ノ俣岳経由)往復コース
- 2. 飛越トンネル(飛越新道・北ノ俣岳経由)往復コース
- 3. 新穂高温泉(小池新道・双六岳・三俣蓮華岳経由)縦走・往復コース
- アクセスと登山口情報
- 1. 折立登山口(富山県側)
- 2. 新穂高温泉登山口・飛越トンネル登山口(岐阜県側)
- 山小屋・テント場情報(2026年シーズン)
- 1. 黒部五郎小舎(標高2,350m・黒部五郎岳と三俣蓮華岳の鞍部)
- 2. 太郎平小屋・薬師峠キャンプ場(太郎兵衛平・折立ルート)
- 3. 双六小屋(標高2,600m)
- 見どころ
- 1. 氷河地形「黒部五郎カール」と雷岩
- 2. 北アルプス最深部ならではの360度展望
- 注意点と安全登山のポイント
- 1. 長大なアプローチと山小屋の収容人数への配慮
- 2. カール内の残雪・増水と稜線の強風
- 3. 富山県・岐阜県における登山届の提出
- 参考リンク
黒部五郎岳の概要
黒部五郎岳(くろべごろうだけ・標高2,840m、三角点2,839.6m)は、富山県富山市と岐阜県高山市の県境に位置する北アルプス(飛騨山脈)の山で、「日本百名山」および「花の百名山」に選定されています。古名を「中ノ俣岳」ともいい、山頂の東面には氷河が削り取ったお椀状の巨大な圏谷「黒部五郎カール」が広がっています。
北アルプス最深部に位置するため、いずれの登山口(富山県側の折立、岐阜県側の飛越トンネル・新穂高温泉)からもアプローチが長く、山岳グレーディングでは体力度7〜10・技術的難易度B〜C(2〜3泊以上が適当)に区分されています。山頂と黒部五郎小舎の間は「稜線コース」と「カールコース」の2ルートに分かれており、高山植物と巨岩が点在するカール底を歩く周回・縦走が広く親しまれています。
ルート解説(富山県・岐阜県山岳グレーディング・日本百名山グレーディング)
岐阜県「岐阜県山岳グレーディング一覧表」および「日本百名山における登山ルート・グレーディング一覧表」における黒部五郎岳の主要4ルートの数値は以下の通りです。
| ルート名 | 体力度 | 技術的難易度 | 合計コースタイム | ルート長 | 累積登り / 下り |
|---|---|---|---|---|---|
| 折立 ⇄ 太郎平 ⇄ 北ノ俣岳 ⇄ 黒部五郎岳 往復 | 7 | B | 17.6時間(約17時間36分) | 30.1km | 2,290m / 2,290m |
| 飛越トンネル ⇄ 寺地山 ⇄ 北ノ俣岳 ⇄ 黒部五郎岳 往復 | 7 | C | 16.5時間(百名山表17.0時間) | 28.2km | 2,400m / 2,400m |
| 飛越トンネル → 黒部五郎岳 → 双六岳 → 新穂高 縦走 | 8 | C | 21.4時間(約21時間24分) | 35.8km | 2,810m / 3,170m |
| 新穂高<小池新道・双六岳経由>往復 | 10 | C | 25.2時間(約25時間12分) | 44.0km | 3,670m / 3,670m |
※体力度7は「1〜2泊以上が適当」、体力度8〜10は「2〜3泊以上が適当」な行程です。技術的難易度Bは「沢、崖、雪渓などを通過し、登山経験や地図読み能力が必要」、Cは「ハシゴ・くさり場、または一面の岩場や長大な雪渓などを通過し、確実な登下降技術が必要」なランクです。
1. 折立(太郎平・北ノ俣岳経由)往復コース
富山県側の折立(標高1,350m)から太郎平小屋、薬師峠分岐を経て、ゆるやかな稜線が続く太郎山・北ノ俣岳(上ノ岳・標高2,662m)・赤木岳・中俣乗越を縦走し、黒部五郎岳(標高2,840m)および黒部五郎小舎(標高2,350m)へ至るルートです。太郎平小屋と黒部五郎小舎を組み合わせた2泊3日以上の行程が一般的です。
コースデータ(日本百名山グレーディング一覧表・富山県)
- 体力度 / 技術的難易度: 体力度 7 / 難易度 B
- 合計コースタイム: 17.6時間(約17時間36分)
- ルート長: 30.1km
- 累積標高差: 登り 2,290m / 下り 2,290m
- 主な経由地: 折立(標高1,350m) ⇄ 三角点 ⇄ 太郎平小屋 ⇄ 北ノ俣岳(上ノ岳) ⇄ 中俣乗越 ⇄ 黒部五郎岳(標高2,840m) ⇄ 黒部五郎小舎(標高2,350m)
2. 飛越トンネル(飛越新道・北ノ俣岳経由)往復コース
岐阜県高山市神岡町から大規模林道(高山大山線)でアクセスする飛越トンネル(標高1,448m)を起点に、飛越新道から寺地山・北ノ俣避難小屋・北ノ俣岳を経て黒部五郎岳へ往復するルートです。岐阜県山岳グレーディングの備考欄では「ルート中の宿泊場所1箇所のみ」(営業小屋は黒部五郎小舎のみ)と注意喚起されており、北ノ俣岳までの樹林帯ではぬかるみや木道が連続するため、行動時間と体力配分に注意が必要です。
コースデータ(岐阜県山岳グレーディング)
- 体力度 / 技術的難易度: 体力度 7 / 難易度 C
- 合計コースタイム: 16.5時間(日本百名山グレーディング一覧表では17.0時間)
- ルート長: 28.2km
- 累積標高差: 登り 2,400m / 下り 2,400m
3. 新穂高温泉(小池新道・双六岳・三俣蓮華岳経由)縦走・往復コース
新穂高温泉(標高1,091m)からわさび平小屋・鏡平山荘・双六小屋・三俣蓮華岳を経て黒部五郎小舎(双六小屋から約3時間30分)へ入り、黒部五郎カールまたは稜線コースで黒部五郎岳へ登るルートです。飛越トンネルからの片道縦走は体力度8・難易度C(21.4時間・35.8km)、新穂高温泉からの往復は体力度10・難易度C(25.2時間・44.0km)となり、双六小屋(または鏡平山荘)と黒部五郎小舎を組み合わせた2泊3日〜3泊4日の計画が必要です。
アクセスと登山口情報
1. 折立登山口(富山県側)
- 路線バス(富山地方鉄道): 夏山シーズンにJR富山駅・電鉄富山駅および有峰口駅から折立行きの季節バス(立山黒部アルペンルート・有峰線方面)が運行されます(運行期間・事前予約の要否は富山地方鉄道の公式案内を確認してください)。
- マイカー: 有峰林道(有料・夜間通行止め時間あり)を経由して折立駐車場へアクセスします。
2. 新穂高温泉登山口・飛越トンネル登山口(岐阜県側)
- 新穂高温泉: JR高山駅から濃飛バス路線バスで「新穂高温泉」下車。マイカーは新穂高温泉登山者用駐車場(P3新穂高第2駐車場、予約制のP4・P6・P7、無料のP5・P8・P10など)を利用します。
- 飛越トンネル: 公共交通機関はなく、神岡町側から林道(神岡・打保〜飛越トンネル)をマイカーまたはタクシーでアクセスします。林道は崩落等による通行規制が行われることがあるため、事前に高山市・岐阜県の道路規制情報を確認してください。
山小屋・テント場情報(2026年シーズン)
1. 黒部五郎小舎(標高2,350m・黒部五郎岳と三俣蓮華岳の鞍部)
双六小屋から約3時間30分、黒部五郎岳と三俣蓮華岳の鞍部(五郎平)に建つ山小屋です。双六小屋グループ公式サイトによると、2026年シーズンの営業概要は以下の通りです。
- 2026年開設期間: 2026年7月10日(金)〜10月15日(木)(宿泊予約制・収容60名)
- 宿泊料金(2026年・大人1名税込): 1泊2食 15,500円 / 1泊夕食 14,000円 / 素泊まり 11,000円 / 弁当 1,500円
- テント場: 約30張(特定日のみWEB事前予約制、それ以外は予約不要。幕営料1人1泊 2,000円、外トイレチップ1回200円)
2. 太郎平小屋・薬師峠キャンプ場(太郎兵衛平・折立ルート)
折立登山口から太郎兵衛平に登り上げた分岐点(薬師岳方面と北ノ俣岳・黒部五郎岳方面の分岐)に太郎平小屋が位置し、薬師岳側へ進んだ薬師峠にキャンプ場が設けられています。営業期間・宿泊予約方法・料金等の最新情報は、入山前に富山県や公式案内で必ず確認してください。
3. 双六小屋(標高2,600m)
- 2026年開設期間: 2026年7月10日(金)〜10月20日(火)(宿泊予約制・収容150名)
- 宿泊料金(2026年・大人1名税込): 1泊2食 15,500円 / 1泊夕食 14,000円 / 素泊まり 11,000円
- テント場: 約150張(特定日のみ予約制、幕営料1人1泊 2,000円)
見どころ
1. 氷河地形「黒部五郎カール」と雷岩
黒部五郎岳東面に広がる「黒部五郎カール」は、氷河によって削り取られた壮大なU字型の圏谷です。黒部五郎小舎から約1時間でカールのシンボルである巨岩「雷岩」に至り、清流が流れるカール底のお花畑(チングルマ、ハクサンイチゲ、ヨツバシオガマ、ウサギギクなど)を歩きながら黒部五郎岳の肩へ登り上げることができます。
2. 北アルプス最深部ならではの360度展望
標高2,840mの山頂からは、眼下に広がる黒部五郎カールと雲ノ平、正面の薬師岳・立山・劔岳、東側の水晶岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳・双六岳、南東の槍ヶ岳・穂高連峰、南西の笠ヶ岳や白山まで、北アルプス中央部の峰々を一望できます。
注意点と安全登山のポイント
1. 長大なアプローチと山小屋の収容人数への配慮
黒部五郎岳はどの登山口からも1日で山頂に到達することが難しく、2泊3日以上の行程が必要です。特に飛越トンネルルートでは営業山小屋が黒部五郎小舎(収容60名)の1箇所のみとなるため、事前予約と無理のない行程計画を徹底してください。
2. カール内の残雪・増水と稜線の強風
7月〜8月中旬にかけては黒部五郎カール内に広範囲の雪渓が残り、融雪期や大雨時にはカール底の沢が増水して渡渉に注意が必要です。一方で稜線コースは風を遮るものがなく、悪天候時は強風と冷雨にさらされるため、天候や残雪状況に応じてコースを選択してください。
3. 富山県・岐阜県における登山届の提出
富山県および岐阜県北アルプス地区では、条例により登山計画書(登山届)の提出が定められています。入山前にオンライン(コンパス等)または各登山口の届出ポストへ必ず提出してください。
参考リンク
執筆・確認
山日記編集部
実際の山行記録や公的機関・自治体の最新情報をもとに、登山ルート・装備・安全対策をわかりやすく整理して発信しています。 登山道・交通・施設情報は変わるため、記事公開後も必要に応じて更新し、最新確認先も案内しています。
